果樹栽培と周辺事業
果樹栽培と周辺事業

高崎の市街地から榛名山に向かう途中にある里見地域は、梨をはじめとする果物の産地として有名で、 このあたりを通る国道は別名フルーツラインとも呼ばれています。その里見地区で主に梨やプラムを栽培している果樹園、 「富久樹園」で働くのが、松沼なほさんです。

果樹園の仕事を、主に栽培している梨を例に説明しましょう。

果樹園のようす 富久樹園の梨畑

5月頃、野菜で言うところの種まきにあたる受粉作業を行います。果実ができてくる6月頃には、袋をかけていきます。 果樹の作業は機械化できないので、受粉も袋掛けもひとつひとつ手作業で行なっていきます。6,7,8月と果実がしっかり育つよう管理し、 8月下旬頃から9月10月は、実った梨を収穫し、選別し、出荷します。畑は数カ所に分かれていてかなりの広さがあるので、 里見の険しい山道をひとり軽トラックで走りまわり、荷台に山積みとなる量の梨を収穫していきます。 この時期、フルーツ街道の果物直売所はどこも大忙しで、午前中は畑で作業、午後はお店で販売という日々が続きます。 品種によって11月ごろまで収穫が続き、その後12月から4月までは、剪定作業や土づくりなど、次の年に向けた準備が待っています。

果樹園のようす農協で他の梨農家さん達との共同作業 果樹園のようす富久樹園の直売所 果樹園のようす配送出荷用の段ボールを組み立てる

松沼さんは、将来の仕事を考えるにあたり「世界中どこででもできること」「誰もが必要とすること」「絶対になくならない仕事であること」 という3つの条件に当てはまるかどうかを基準に考えたといいます。最終的に医療か農業で迷った末、農業の道に進む決意をし、農林大学校で農業を学びました。

大学卒業後はニュージーランドの農場で働いたり、バングラデッシュで農業支援のボランティアを行なったりしていた松沼さん。 帰国後、介護福祉士として働いていましたが、この時富久樹園の富沢登さんから、 高崎CIPのメンバーとして富久樹園で働かないかとお話をいただき、再び農の道に戻ることにしました。この決断の背景には、 バングラデシュで見た農業の現状と、それを改善するお手伝いができるのではないかという思いもあったといいます。

果樹園のようす梨は品種によって旬が少しずつずれているため、8月〜12月ごろまで味わえる。 果樹園のようすプラムも里見地区の名物のひとつ。ここのプラムを食べてファンになる人も多い。

CIPのプログラム終了後は、高齢化のすすむ傾向が顕著な果樹農家で、労働力不足となっている作業を補いながら、加工所の設立を目指す予定です。 加工所で、果物のロスをプラスにすること、地域ブランドをつくり上げることができればと考えています。また、発展途上国との連携についても、何かできないかと思いを巡らせています。

「以前は海外に目が向いていたけれど、CIPのメンバーとしてこの場所ではたらき、また、全国で地域の特性を生かした活動をしている方々を訪問する機会を得るなかで、 自分の暮らす場所を好きになることの大切さを学びました」と語る松沼さんが、里見の山に新しい風を吹かせるのが楽しみでなりません。